COPDの急性増悪とは

  1. 急性増悪とは
  2. COPDの急性増悪の予防

1.急性増悪とは

COPDは息切れ、呼吸困難、咳・痰が出るなどの症状があります。ある程度日による変動があるのは常ですが、急にこのような症状が著しく悪くなる場合を指して急性増悪といいます(ちなみにゾウアクと読みます)。症状としては具体的には息切れが強くなる、呼吸困難感が増す、咳の回数や痰の量が増える、痰が切れにくくなる、痰が黄色くなる、発熱する等です。COPDの増悪はなるべく早く見つけて治療することが大切です。

COPDの増悪の原因は気道感染(ウイルスや細菌による風邪、急性気管支炎、肺炎など)と大気汚染です。しかし、約3分の1は原因が不明です。COPDの急性増悪は生活の質を低下させ、入院をしばしば余儀なくさせます。さらに、COPDの増悪により肺の機能が落ちると、二酸化炭素を体から排出できなくなります。こうなると血液中の二酸化炭素が増えてきます。ひどくなれば意識障害も起こりえます。このような場合の入院の死亡率は約10%にものぼります。また急性増悪により呼吸機能が低下することも問題です。このため急性増悪を予防し、早期に発見治療することはCOPDの進行の抑制に必要です。COPDの急性増悪は前年に急性増悪をきたしているとなりやすくなることが知られています。呼吸が普段よりも苦しくなって、痰の量が増えたら医師に相談してください。また普段から体重や脈拍の速さを知っておくことも大切です。

2.COPDの急性増悪の予防

COPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫および慢性気管支炎の両者を指します)の急性増悪については、これを防ぐにはどうしたらよいでしょうか。2つの方法があり、これを併用することで効果があります。1つはインフルエンザのワクチンの接種を流行シーズン前に行なうことです。インフルエンザワクチンはすべての風邪に効くわけではありませんが少なくともインフルエンザに関しては予防効果があります。100%の予防効果があるわけではない所がつらいのですが、65歳以上の場合、京都市の場合、行政よりの助成がありますので2,000円で受けられます。また所得により無料となる場合があります(2016年1月現在)。ちなみに、京都市の広報によるとCOPD患者だけではありませんが「(肺炎球菌ワクチンは)老人施設入所者に行なった調査では、予防接種を受けない場合を1とすると、接種することにより死亡の危険を0.2、入院の危険を0.4~0.5、発病の危険を0.6~0.7に下げることが証明されています」というデーターがあります。インフルエンザの流行するタイプは毎年変わるので毎年予防接種を受けて下さい。

もう1つは肺炎球菌ワクチンです。こちらの方は現在日本では商品名「ニューモバックス」という名前で販売されています。肺炎球菌は肺炎を起こす細菌としては頻度が高い菌です。ただしこれを接種すればすべての肺炎が防げるわけではありません。肺炎球菌ワクチンを接種することで、高齢者での肺炎の発症を減少させ、また若年者でも呼吸機能の悪いCOPD患者の急性増悪を防ぎます。

また禁煙は増悪を予防するだけではなくCOPDの進行も遅らせますから必須です。