喘息と新型コロナウイルス感染症

以下の文章は時々の医療情報、社会情勢等により随時変更します。また喘息は新型コロナウイルス感染症とは関係なく急に悪くなることがあるので、悪化時にはすぐに医療機関に相談ください。

  1.  風邪症状が出た場合の受診について
  2.  新型コロナウイルス感染症の予防について
  3.     喘息と新型コロナウイルス感染症 よくある質問

1 風邪症状が出た場合の受診について

① 喘息症状が出る場合は担当医に連絡をして下さい。

 普通のかぜも新型コロナウイルス感染症も,症状が出てからでも症状だけでは区別がつきません.症状が出てすぐに受診しても,抗原検査やPCRC検査を行い、新型コロナウイルスが検出されるかどうかを調べないと新型コロナ感染症と違うと診断することは困難です.新型コロナウイルスを診断する体制は整ってきていますが、いまだに100%正確に診断することは難しい状態です.PCR 検査は有効な診断方法ですが、新型コロナウイルスが存在していても鼻咽頭からの検査ではよくても70%くらいしか診断することはできません。つまり30%は見逃す可能性があります。また,新型コロナウイルス感染症の2割から4割はほとんど症状がないか、微熱や頭痛、咽頭痛のような軽い症状のまま⾃然に治ってしまいます.⼀⽅で,症状がある時に外出したり受診すると,外出先や医療機関の待合室で感染を広めるおそれがあります.特にオミクロン派生株が流行るようになってからは無症状や咽頭痛だけで、発熱のない感染例が増えてきています。このため発症から10日間経たない咳の患者さんは発熱外来の枠で診察しております。感染予防にご協力お願いいたします。

 かぜのような症状が出た場合は,仕事や学校を休んで外出を避け,⾃宅療養あるいは医療機関を受診してください.マスクをして他の人に感染させないようにすることも大切です。⾃宅療養中は,1⽇2 回(朝・⼣)体温を測り,⼿帳やノートに体温と測った時間を記録してください. 自分や家族の経過を知ることに役立ちますので是非記録してください.⾃宅療養に不安があるときは,かかりつけ医療機関に定期的に電話するな どして経過を伝え,担当医のアドバイスを仰ぐといいで しょう.特にゼーゼー、ヒューヒューという音がするようならそれは喘息が出ている可能性がありますから、早急に連絡をして下さい。藤田医院では熱や風邪症状のある方は時間外に他の患者さんとは時間を分けて診療しています。受診前に必ず電話をしてから受診するようにしてください。熱がなくても風邪症状や、10日以内に咳が出て受診される場合は発熱外来の枠で診察します。感染予防にご協力ください。

https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000277047.html

2 次のような症状がある場合は「新型コロナウイルス感染症専用電話相談窓口」もしくは発熱外来のある医療機関へ電話相談してください(当院は発熱外来を行っています。電話で連絡の上受診してください。予約のない方の受診はお断りしています。)

①息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
②重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 肺癌で治療中の方)、その他の癌、喫煙、高度の肥満、妊娠などの基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
③上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合には速やかに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)
 新型コロナウイルス感染症も普通の風邪も,通常は3-4⽇間で⾃然に治ってきます.重症感や症状だけで新型コロナ感染症と普通の風邪とを鑑別することはできません。 ご⾼齢の⽅,持病のある⽅,妊娠中の⼥性は,新型コロナウイルス感染症が悪化しやすくなります.それらの⽅々は,新型コロナウイルス感染症に注意する必要があります.
 待合室で他の患者さんにうつさないようにするため,連絡なしで直接医療機関に受診することは避けてください.
京都市の情報はこちら

③ 受診の⽅法

発熱外来のある医療機関もしくは新型コロナウイルス感染症専用電話相談窓口 京都市 075-414-5487 に電話相談すると,担当者から症状の経過や持病の有無などを質問されます.その上で担当者が,受診の指示を行います。受診する場合は,たとえ咳やくしゃみがなくても、のどが痛いあるいは頭痛などの症状だけでも必ずマスクをつけてください.また,担当者から指⽰された医療機関以外には決して受診しないでください.

3 新型コロナウイルス感染症の予防について

感染の予防のためにはいくつかのことをしたほうが感染のリスクを下げられます。これだけをしていたから大丈夫ということではなく複数の方法を実行することで感染のリスクを下げることができます。一つ一つのことを行うことで感染リスクを下げられます。

① まず手洗いをしっかり行いましょう。

新型コロナウイルスはウイルス感染症です。体の中に入る経路は目の結膜、鼻の粘膜、口の粘膜からです。汚れた手で目をこすったり、鼻をさわったりするのはやめましょう。花粉症の季節には無意識に触るかもしれません。また外出から帰ったらすぐに手を洗ってください。食事前にも手を洗ってください。アルコールは手に入りにくくなっていますが石鹸で洗えば十分です。手洗いの仕方は十分な石鹸を手に取りしっかりと手のひら、手の甲、指と指の間、親指、手首までこすったのち十分な流水で洗い流します。全部で20秒以上かけます。現在接触感染によるコロナ感染は以前ほどの頻度ではないとされていますが、感染症はコロナだけはありません。感染予防のための手洗いの重要度は変わりありません。

② マスクをしましょう。

一般の方がマスクをすることで感染率を低下させることができるかはしっかりとしたデータがあります。できれば使い捨ての高機能マスクをして下さい。会話ときや咳をしたときに出る飛沫を抑えることで他人への感染を防ぐことができます。マスクをすれば咳をしたときに飛沫が飛びにくくするという効果が期待できます。マスクをすることで感染を広げないようにすることができます。マスクをしていればすべての感染を防げるわけではありませんが、リスクを低減するために当院敷地内ではではマスクは必ず行ってください。

③ 病気の十分なコントロールをしましょう。

喘息や肺気腫(COPD)といった疾患は風邪で悪化することは皆さんも経験があると思います。新型コロナウイルスも風邪を引き起こすウイルスですので、感染により喘息や肺気腫(COPD)が悪化する可能性があります。感染がどの程度喘息やCOPDの重症化に寄与するのかはまだ未知の部分があります。喘息の方が新型コロナウイルスに感染してもすべて重症化しているわけではありません。しかし現在かかっている病気のコントロールを十分に行っておくことは将来のためにも役立ちますし、感染した時にも重症化を防ぎます。どうか現在かかかっている病気の治療はやめないで下さい。また吸入ステロイドを吸っているからと言ってウイルスに感染しやすくなることはありません。吸入療法を中断することで喘息が悪化するリスクが高くなります。

④ 不要な外出は避けましょう。

すでにいろんなところで言われていることです。新型コロナウイルスはエアロゾール感染をします。エアゾールに関してはいまだに明確な定義はありません。当初いわれていたような目に見える飛沫感染よりも細かい粒子により遠くまで、場合により飛沫感染より高率に特に最近の変異株は感染力が強くなっています。ただし新型コロナウイルス感染患者さんの家の近くに住んでいても、あるいは病院の近くに近づいても伝染するわけではありません。現在の新型コロナウイルスの感染力はインフルエンザかそれ以上の感染力とされています。三密(密集、密閉、密接)を避けて感染のリスクを下げてください。コロナ流行下での生活も三年目をまじかになってきました。すべての行動を規制するようなことは不可能ですが、流行状況や個々のリスクに応じた行動をとってください。

⑤ 確かな知識を身に着け、不確かな情報に惑わされないようにしましょう。

残念ながら現在確実に新型コロナウイルスに効くという一般で入手できる食品やサプリはありません。今現在も全世界で研究が進められています。ネット、SNSなどで〇〇〇という食品、薬品が効くということを目にされるかもしれませんが、2022年11月現在のようなものはごく少数の薬品(モルヌピラビル、パクスロビッド、いくつかの注射を要する抗体製剤)を除いてはありません。現在も複数の薬剤について研究がおこなわれています。

⑥ それでも不安です。どうしたらよいでしょうか。

知識は感染症に対する重要なワクチンです。正しい知識はあなたを感染から守ります。必要な情報を得たら、テレビやインターネットを見過ぎるのはやめにして他のことをしましょう。体操でもヨガでもなんでも構いません。長らく会っていなかった方にメールを送るのもいいかもしれません。若い世代の方は感染しても発病することなく経過することもあります。みんなが重篤な状態になるわけではありません。あなたの行動が あなた自身を守り、社会の混乱を低減し 、医療の資源を重症患者に振り向けることができるようになることを想ってください。

⑦ 近くの家、病院、施設で新型コロナ感染症の方が出ました。どうしたらいいですか

家、病院、施設の近くを通行しても新型コロナウイルスに感染することはありません。どうか安心してください。自分の周りで新型コロナウイルスの感染者が出たときに自分がかからないか不安に思うことは自然ですが、『隣に住んでいると感染する』、『病気が出た人の家の前は息を止めて前を通らないといけない』、『住んでいる家や病院に近づくと病気になる』といった噂は事実に反するデマです。デマに惑わされず自分自身がデマの一端を担うことなく適切な行動をとってください。病気になった人、施設、病院を責めることは正義感から行ったことだという言い訳は通用しません。それは見過ごすことのできない行為です。ハンセン氏病に対して誤った認識から差別の歴史を生み出しました。その歴史を繰り返してはいけません。大変な時にこそ、お互いに尊重しあいましょう。

4 喘息と新型コロナウイルス感染症 よくある質問

① 喘息がありあるいは過去にありコロナになりました。どうしたらよいでしょうか?

まずは医療機関を受診し、診断を確定させてください。発熱や咽頭痛イコールコロナ感染症ではありません。肺炎や扁桃腺炎などの様々な病気で熱が出ますし、咽頭痛が生じます。コロナ感染が確定したら受診した医療機関で適切な投薬を受けてください。さらに咳が止まらなかったり、喘鳴(ヒュウヒュウ、ゼイゼイいう事)が出現する場合、あるいは息切れがする場合は担当医へ連絡ください。喘息の悪化やコロナの重症化や他の感染症の合併など様々なメースが考えられます。インターネットは便利なものですが、あなたの主治医となることはできません。

 

② 喘息があると新型コロナウイルスに感染しやすくなりますか。

喘息を持っている方が知りたい事柄と思います。結論から行くとこの問いに対してはっきりと示すことができるようなデータは私の知る限りありません。逆に言うと喘息を持っていると新型コロナウイルスにかかりやすいということは報告されていません。ではどうするか。できるだけ用心しましょうというドバイスになります。ある病気を持っているとある病気になりやすいかどうかを知ることは結構手間がかかります。例えば実験ならばある病気を持っているマウスと持っていないマウスに対し、何らかの形でウイルスにさらしてそれぞれのグループで感染が何%成立したかがわかれば、ある病気を持っているとどのくらいウイルスに伝染しやすいかを知ることができます。むろん人間でこのようなことは行えません。このため今後ともこのようなデータは近々に出ることはないと思われます 。ただし今後一般の人を含めた大規模な新型コロナウイルス抗体の保有率と病気の重症度や罹患率を調べればそのデータが得られるかもしれません。そのようなデータをご存じでしたらお手数ですが御一報ください。

③ 喘息があると新型コロナウイルスに感染した時に重症化しやすいですか。

喘息があると新型コロナウイルスに感染したときに重症化するかどうかに関してはかなり報告が上がってきました。入院を要するような重症化するリスクやICUに入室を必要とするようなリスクはわずかに増えるという報告が多いようです。特に重症の喘息でステロイドの内服を行っている方では重症化リスクは高まります。COPD(肺気腫)に関しては、重症化するリスクが高くなり死亡するリスクも高くなります。引き続きデータに関しては注意してみています。

④ 吸入ステロイドを吸入していると新型コロナウイルスにかかりやすくなりますか。

吸入ステロイドを吸っているとウイルス感染症にかかりやすくなるというデータはありません。喘息の良いコントロールを保っていくことは新型コロナウイルス感染症と関係なく大事です。新型コロナウイルス感染症に目を奪われがちですが、喘息はそれ自体で重篤化することがあります。現在の治療をやめることなく担当医の指示に従ってください。

⑤ 吸入ステロイドが新型コロナウイルス感染症に効くとききました。吸入量を増やしたら新型コロナウイルス感染症にかかりにくくなりますか。

シクレソニド(オルベスコ)が重症化予防に効果があるかについては否定的な結論が出ています。https://www.ncgm.go.jp/pressrelease/2020/20201223_1.html このため現時点ではシクレソニドは新型コロナに関しては治療薬としては使われてていません。また他の吸入ステロイドが重症化を防ぐかについては肯定するデータは知る限りありません。