喘息と新型コロナウイルス感染症

以下の文章は時々の医療情報、社会情勢等により随時変更します。また喘息は新型コロナウイルス感染症とは関係なく急に悪くなることがあるので、悪化時にはすぐに医療機関に相談ください。

  1.  風邪症状が出た場合の受診について
  2.  新型コロナウイルス感染症の予防について
  3.     喘息と新型コロナウイルス感染症 よくある質問

1 風邪症状が出た場合の受診について

① 喘息症状が出る場合は担当医に連絡をして下さい。

普通のかぜも新型コロナウイルス感染症も,症状が出てから最初の数⽇は区別がつきません.症状が出てすぐに受診しても,新型コロナウイルス感染症と診断することも,違うと診断することも困難です.仮に早く診断できたとしても,肺炎になったり重くなるのを防ぐ治療薬などもありません.また,新型コロナウイルス感染症の⼤半はかぜのような軽い症状のまま⾃然に治ってしまいます.⼀⽅で,症状がある時に外出したり受診すると,外出先や待合室で感染を広めるおそれがあります.
そのため,かぜのような症状が出た場合は,仕事や学校を休んで外出を避け,⾃宅療養してください.⾃宅療養中は,1⽇2 回(朝・⼣)体温を測り,⼿帳やノートに体温と測った時間を記録してください. 自分や家族の経過を知ることに役立ちますので是非記録してください.⾃宅療養に不安があるときは,かかりつけ医療機関に定期的に電話するな どして経過を伝え,担当医のアドバイスを仰ぐといいで しょう.特にゼーゼー、ヒューヒューという音がするようなら早急に連絡をして下さい。

② 次のような症状がある場合は「新型コロナウイルス感染症専用電話相談窓口」へ電話相談してください

次のような症状がある場合は,新型コロナウイルス感染症専用電話相談窓口に相談して下さい。
①息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
②重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方
③上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)
 新型コロナウイルス感染症ではないその他のかぜであれば,通常は3-4⽇間で⾃然に治ってきます.もし4⽇以上かぜの症状(発熱,咳,のどの痛みなど)が続いた場合は,⼜は4⽇未満でも呼吸が苦しくなるなど悪化する傾向があれば,新型コロナウイルス感染症を疑う必要があります.
 ご⾼齢の⽅,持病のある⽅,妊娠中の⼥性は,新型コロナウイルス感染症が悪化しやすくなります.それらの⽅々は,新型コロナウイルス感染症に注意する必要があります.
 待合室で他の患者さんにうつさないようにするため,連絡なしで直接医療機関に受診することは避けてください.
京都市の情報はこちら

③ 受診の⽅法

新型コロナウイルス感染症専用電話相談窓口 京都市 075-222-3421 に電話相談すると,担当者から症状の経過や持病の有無などを質問されます.その上で担当者が,受診が必要かどうか判断し,受診する場合は専⾨病院とかかりつけ医療機関のどちらがふさわしいかを判断します.担当者の判断と指⽰にしたがって⾏動してください.
受診する場合は,たとえ咳やくしゃみがなくても必ずマスクをつけてください.また,担当者から指⽰された医療機関以外には決して受診しないでください.

以上 厚生労働省 国民の皆様へ(新型コロナウイルス感染症) より引用 2020.5.8

2 新型コロナウイルス感染症の予防について

感染の予防のためにはいくつかのことをしたほうが感染のリスクを下げられます。これだけをしていたから大丈夫ということではなく複数の方法を実行することで感染のリスクを下げることができます。一つ一つのことを行うことで感染リスクを下げられます。

① まず手洗いをしっかり行いましょう。

新型コロナウイルスはウイルス感染症です。体の中に入る経路は目の結膜、鼻の粘膜、口の粘膜からです。汚れた手で目をこすったり、鼻をさわったりするのはやめましょう。花粉症の季節には無意識に触るかもしれません。また外出から帰ったらすぐに手を洗ってください。食事前にも手を洗ってください。アルコールは手に入りにくくなっていますが石鹸で洗えば十分です。手洗いの仕方は十分な石鹸を手に取りしっかりと手のひら、手の甲、指と指の間、親指、手首までこすったのち十分な流水で洗い流します。全部で20秒以上かけます。

② マスクをしましょう。

一般の方がマスクをすることで感染率を低下させることができるかはしっかりとしたデータはありません。また布製マスクが医学的に感染防御に対して役に立つかに関しては全くデータがありません。このため特に布製マスクをすることが予防に役立つかは不明です。しかしマスクをすれば咳をしたときに飛沫が飛びにくくするという効果が期待できます。マスクが手に入らないという方も多いと思います。布製マスク、手作りマスク、簡易のマスクをしましょう。手に入らなければ口元を覆う方法(襟巻、ハンカチなんでも結構です)を考えましょう。マスクをすることの医学的な意味のほかに、社会的な意味があります。口元を覆うだけでも周囲の方の反応も違うでしょう。私はあなたに危害を加えるつもりはないという意思表示です。キッチンペーパーやTシャツで簡易マスクを作る方法などがインターネット上に載っています。恰好悪いかもしれませんが、トライしてみませんか。

③ 病気の十分なコントロールをしましょう。

喘息や肺気腫(COPD)といった疾患は風邪で悪化することは皆さんも経験があると思います。新型コロナウイルスも風邪を引き起こすウイルスですので、感染により喘息や肺気腫(COPD)が悪化する可能性があります。感染がどの程度重症化に寄与するのかはまだ未知の部分があります。喘息の方が新型コロナウイルスに感染してもすべて重症化しているわけではありません。現在かかっている病気のコントロールを十分に行っておくことは将来のためにも役立ちますし、感染した時にも重症化を防ぐと思われます。どうか現在かかかっている病気の治療はやめないで下さい。また吸入ステロイドを吸っているからと言ってウイルスに感染しやすくなることはありません。吸入療法を中断することで喘息が悪化するリスクが高くなります。

④ 不要な外出は避けましょう。

すでにいろんなところで言われていることです。新型コロナウイルスは空気感染はないとされています。新型コロナウイルス感染患者さんの家の近くに住んでいても、あるいは病院の近くに近づいても伝染するわけではありません。インフルエンザと同じくらいの感染力とされています。三密(密集、密閉、密接)を避けて感染のリスクを下げてください。

⑤ 確かな知識を身に着け、不確かな情報に惑わされないようにしましょう。

残念ながら現在確実に新型コロナウイルスに効くという薬剤、治療法、食品はありません。今現在も全世界で研究が進められています。ネット、SNSなどで〇〇〇という食品、薬品が効くということを目にされるかもしれませんが、2020年4月12日現在このようなものはありません。現在複数の薬剤について研究がおこなわれています。近いうちにこれらの結果が得られます。

⑥ それでも不安です。どうしたらよいでしょうか。

知識は感染症に対する重要なワクチンです。正しい知識はあなたを感染から守ります。必要な情報を得たら、テレビやインターネットを見過ぎるのはやめにして他のことをしましょう。体操でもヨガでもなんでも構いません。長らく会っていなかった方にメールを送るのもいいかもしれません。若い世代の多くの方は感染しても発病することなく経過します。みんなが重篤な状態になるわけではありません。あなたの行動が あなた自身を守り、社会の混乱を低減し 、医療の資源を重症患者に振り向けることができるようになることを想ってください。

⑦ 近くの家、病院、施設で新型コロナ感染症の方が出ました。どうしたらいいですか

家、病院、施設の近くを通行しても新型コロナウイルスに感染することはありません。どうか安心してください。不安に思うことは自然ですが、『隣に住んでいると感染する』、『息を止めて前を通らないといけない』、『近づくと病気になる』といった噂は事実に反するデマです。デマに惑わされず自分自身がデマの一端を担うことなく適切な行動をとってください。病気になった人、施設、病院を責めることは正義感から行ったことだという言い訳は通用しません。それは見過ごすことのできない行為です。ハンセン氏病に対して誤った認識から差別の歴史を生み出しました。その歴史を繰り返してはいけません。大変な時にこそ、お互いに尊重しあいましょう。

3 喘息と新型コロナウイルス感染症 よくある質問

① 喘息があると新型コロナウイルスに感染しやすくなりますか。

喘息を持っている方が知りたい事柄と思います。結論から行くとこの問いに対してはっきりと示すことができるようなデータはありません。逆に言うと喘息を持っていると新型コロナウイルスにかかりやすいということは報告されていません。ではどうするか。できるだけ用心しましょうというドバイスになります。ある病気を持っているとある病気になりやすいかどうかを知ることは結構手間がかかります。例えば実験ならばある病気を持っているマウスと持っていないマウスに対し、何らかの形でウイルスにさらしてそれぞれのグループで感染が何%成立したかがわかれば、ある病気を持っているとどのくらいウイルスに伝染しやすいかを知ることができます。むろん人間でこのようなことは行えません。このため今後ともこのようなデータは近々に出ることはないと思われます 。ただし今後一般の人を含めた大規模な新型コロナウイルス抗体の保有率を調べればそのデータが得られるかもしれません。

② 喘息があると新型コロナウイルスに感染した時に重症化しやすいですか。

喘息があると新型コロナウイルスに感染したときに重症化するという報告は今のところありません。しかし喘息があると重症化しないと言い切ることはできません。今あるデータで見る限り重症化するという報告はありません。COPD(肺気腫)に関しては、重症化するリスクがあるとの報告がいくつか出ています。引き続きデータに関しては注意してみています。

③ 吸入ステロイドを吸入していると新型コロナウイルスにかかりやすくなりますか。

吸入ステロイドを吸っているとウイルス感染症にかかりやすくなるというデータはありません。喘息の良いコントロールを保っていくことは新型コロナウイルス感染症と関係なく大事です。新型コロナウイルス感染症に目を奪われがちですが、喘息はそれ自体で重篤化することがあります。現在の治療をやめることなく担当医の指示に従ってください。

④ 吸入ステロイドが新型コロナウイルス感染症に効くとききました。吸入量を増やしたら新型コロナウイルス感染症にかかりにくくなりますか。

まずは事実をしっかり確認しましょう。シクレソニド(商品名 オルベスコ)が重症化予防に役立つかもしれないという3症例の報告が国内でありました。まだシクレソニド(オルベスコ)が重症化の予防に役立つかについて、はっきりとした結論は出ていません。この報告はあくまでも症例報告のレベルで、しっかりとした多数のヒトでの報告ではないので、解釈には注意が必要です。シクレソニド(オルベスコ)が重症化予防に効果があるかについては研究は現在進行中です。結論が出るまでは、あくまでも”役立つかもしれない”です。その後いくつかの症例報告が出ていますので、現在もデータが集まっている最中です。またシクレソニド(オルベスコ)が新型コロナウイルスにかかりにくくなるという事実はありません。感染予防に役立つということと重症化予防に役立つということは別の話ですので混同しないようにしてください。担当医に指示された吸入量を守ってください。また治療に不安のある方は担当医と相談ください。