診療姿勢

呼吸器疾患の治療は進歩しています

つい数十年前まで呼吸器疾患の治療薬は限られたものでした。このため治療の効果が十分に出ず、患者さん、担当医ともどもに悔しく残念な思いをすることがありました。近年になり 喘息やCOPD(肺気腫、慢性気管支炎)肺癌といった呼吸器疾患の診断や治療法は着実に前進しています。いまだに医学は万全ではありませんし、すべての呼吸器疾患が治るわけではありません。しかし特に喘息、COPD(肺気腫、慢性気管支炎)は新しい治療薬の登場により、多くの患者さんでより容易にコントロールできるようになってきました。これは病気の理解が進んだこととも大きな背景です。たとえば昔は喘息では空気の通り道である気管支が刺激に対し過敏な反応を示して狭くなると考えられていました。今では喘息は特殊なタイプの気管支炎の一種だと考えられるようになりました。このため喘息では昔は気管支を拡げる薬が中心に用いられていましたが、今では喘息の治療は炎症をおさえる薬が中心になっています。またCOPD(肺気腫、慢性気管支炎)も新しい薬が登場し、以前よりも効果的に息切れが抑えられるようになってきました。

当院では院長を先頭にスタッフ一同よりよい疾患のコントロールが、よりよい生活に結びつくように診療にあたっています。

当院の役割

藤田医院は個人の開業医です. CTやMRIはありません。近隣の病院と緊密な連携を行っており、当院で診断や治療ができない疾患に関しては適切な病院に紹介します。

当院の役割は次のように考えています。

  1. なかなか止まらない咳、治らない咳、喘息、COPDをはじめとする呼吸器疾患を診断、治療し、病気に対する正しい知識を患者さんに伝えます。
    たとえば咳はよくある症状です。しかしどこの医療機関に行ってもなかなか良くならなかったことはないでしょうか。また喘息の治療を受けていても今ひとつすっきり治りきらないという経験がありませんか。藤田医院ではこれらの病気の診断や治療を行います。これらの病気は正しく診断されていないことも多い病気です。正確な診断、よりよい治療を提供することを目指しています。また病気に関する正しい知識を持つことは病気を治療していくうえで必要不可欠です。
  2. 高血圧や糖尿病、コレステロールが高いといった普通の病気を診療行います。
    世の中は名医ブームですが、普通によくある病気は特別な専門医でなくなくても(院長は内科総合専門医です)普通の治療を行い、必要に応じ定期的に専門医で紹介し、治療をしていけばよいと思います。地域の方にアクセスしやすい一般内科として藤田医院は診療を行っています。また個々の病気だけではなく、何が患者さんにベストか考えながら、治療を選択していきたいと思っています。
  3. 病気の合併症や併存症を診断し、その患者さんにあった治療を選び継続していきます。
    高齢化とともに一人の人が複数の病気を抱えていることは今や当たり前となってきた感があります。例えばCOPDならば高齢者であり色々な合併症や併存症を伴っていることが多いです。それは骨粗鬆症であったり動脈硬化の結果の狭心症や高血圧といった病気です。反対に高血圧でかかっている患者さんは動脈硬化を防ぎ、脳卒中や心筋梗塞を予防していくことが求められます。また喘息患者さんでもコレステロールが高かったり糖尿病があったりすることは珍しいわけではありません。このような病気を的確に見つけ治療することも当院の仕事です。
  4. 「何でも相談 かかりつけ医」の働きをすること。
    病気だけを取り出して診療するのではなく、患者さんの家族構成(独居なのか、近くに親族がいるのかといった患者さんの周囲の状況)や認知症の有無などを考えながら患者さんにとってよりよい治療を考えていきます。また体の調子が悪いけれども,何科に行けばよいかわからないといったことはよくあると思います。藤田医院はこのような場合にもお役に立てると思っています。

喘息とCOPDの治療について

喘息とCOPDは呼吸器疾患の代表格です。当院では呼吸器疾患全般の診療を行っていますが特に喘息、COPDの治療在宅酸素療法には力を入れています。数々の研究ではまだまだ喘息やCOPDのコントロールはうまくいっていないことを示しています。また喘息の治療薬の吸入ステロイドに関してはまだ誤解があり、喘息治療に際しての吸入ステロイド剤の普及も今一歩のところがあります。そして吸入ステロイドで喘息治療を行っているにも関わらず不十分な喘息のコントロールしかできていない患者さんも多々見受けられます。喘息やCOPDの薬物療法は現在吸入薬が中心となっています。このために全身的な薬の副作用をほとんど心配しなくてよくなった反面、吸入の仕方をちゃんと教わらないと吸入がうまくできず、充分に喘息の治療の効果が出ません。当院では充分な吸入指導を行い、しっかりとした喘息の治療効果がでるように努めています。また喘息の患者さんには職場の状況、ペットの飼育など生活の状態を聞き、アレルギーの検査を行い、喘息の治療に役立てるようにします。

現在喘息の治療の中心は現在吸入ステロイドです。ステロイドというと副作用という文字が頭に浮かぶかもしれません。正確に言うならば経口薬や注射剤のステロイドを長期間にわたり全身投与した場合にはステロイドは副作用があります。しかしながら喘息では気管支の炎症さえ抑えればよいのですから、喘息を治療する場合には吸入薬という形で用います。全身的なステロイド投与とは異なり、吸入ステロイドは気管支にのみ作用します。また吸収されたステロイドも大部分は全身にまわる前に肝臓で分解されてしまいます。このため喘息で用いる吸入ステロイドは全身的な副作用はほとんどありません。
医療機関にかかればすべての病気の診断がつくわけではありませんし、すべての病気が治るわけではありません。医学は万能ではありません。しかし医学は進歩し続けています。最新の情報を取り入れつつ、人間味のある診療を行いたいと思っています。いつか呼吸器疾患の治療ももっと簡易で長期的に治ってしまうような治療方法が出現することを願っています。