パルミコート吸入液

1.特徴は?

パルミコート吸入液は、プラスチックアンプルに一回量が重点されており、ドライパウダー製剤や加圧式定量噴霧吸入製剤(pMDI)では適切に吸入できない小児や高齢者などにおいても吸入が可能な薬剤です。ネブライザーを用いて吸入します。6ヶ月以上5歳未満の乳幼児気管支喘息の適応を有する本邦唯一の吸入ステロイド薬です。

国内で発売されている吸入ステロイド薬

この薬中身と形は?吸入量が2種類(0.25mgは小児用、0.5mgは成人用)あるので間違えないでください。

パルミコート吸入液

販売名 パルミコート吸入液0.25mg パルミコート吸入液0.5mg
成分・含量[1アンプル(2mL)中 ブデソニド0.25mg ブデソニド0.5mg

2.使い方は?

この薬は吸入薬で、飲み薬ではありません。また、ネブライザーを用いて使用します。

使用量および回数
使用量は、症状などにあわせて、医師が決めます。
通常の使用量および回数は、次の通りです。

[成人]

吸入回数は0.5mgのアンプルの場合1日2回、または1回1mgを1日1回、ネブライザーを用いて吸入します。
なお、症状により適宜増減されますが、1日最高量は主成分として2mgまで吸入が可能です。

一日量 2アンプル(主成分として1mg)
一日最大4アンプルまで(主成分として2mg)

 

[小児]

吸入回数は0.25mg1アンプルを1日2回、または2アンプル(主成分として0.5mg)を1日1回、ネブライザーを用いて吸入します。
なお、症状により適宜増減されますが、1日の最高量は1mgまでです。

一日量 2アンプル(主成分として0.5mg)
一日最大4アンプルまで

パルミコート
※ネプライザーはアレルギー疾患診断・治療ガイドライン2010において普通の呼吸で、確実に吸入dけいるデバイスとして位置づけられています。効能・効果・用法・容量、禁忌、原則禁忌を含む使用上の注意、用法・容量に関連する使用上の注意等については、製品添付文書をご参照ください。

パルミコート吸入液を使用される患者さんへ

小児の安全性について

子どもに吸入ステロイドを使用することに対して、成長を抑制し、身長が低くなるのでは?と不安に思うかもしれません。実際に、添付文書には「全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により、小児の成長遅延をきたすおそれがある。」との記載があります。しかし、実際の国内の報告ではパルミコート吸入液を168週間、約3年3ヶ月使用した患児を含む成長曲線をみると、成長速度はほぼ正常範囲内でした。
一方海外の試験で

  • 5歳~13歳の1041人の小児患者(軽度から中等度の気管支喘息)平均年齢4歳
  • ①吸入ステロイド薬ブテソニド400㎍/日吸入
    ②抗ロイコトリエン薬ネドクロミル(日本未発売)16㎎/日を
    プラセボ(有効成分を含まない治療効果のない薬)投与御群と比較したところ

結果
成人に達したとき、平均の身長が吸入ステロイド薬使用群は平均1.2㎝低かったとの結果でした。
ただし、使用開始2年以内に1㎝程度の身長の伸びの低下が起こる可能性はありますが、その後使用が継続されても身長の抑制は起こりにくいと結論付けられています。

結果としては身長に影響があるとなっています。この平均1.2cmの身長の差をどう考えるかは御両親や本人の考えや価値観により異なると思います。ただし、慎重に治療を行う必要があります。

イラスト