喘息の日常生活の注意点

1. アレルゲンを避けましょう
2. 気候・温度差の影響
3. 風邪の予防
4~6. 日常生活
7. 職場環境

1.アレルゲンを避けましょう

『アレルゲン』とは、アレルギーを引き起こす物質の総称です。すべてのアレルゲンを避けることは現実的ではありません。あまり神経質になりすぎずできる範囲でのことを行ってください。

アレルゲン・・・

ハウスダスト、ダニ、カビ(アステルナリア、アスペルギルスetc)、花粉(スギ、カモガヤetc)、昆虫(ガ、ユスリカetc)、ペットの毛(イヌ、ネコ、ハムスター、ウサギ etc)、食物(牛乳、卵etc)

中でもダニはあらゆるアレルギーの元です。

ダニはあらゆるアレルギーの“下地”になりやすいと言われています。
あまりたくさんダニに囲まれ続けると色々なアレルギーが発症しやすくなります。

  • ダニの好きな環境・・・気温20~30℃ 湿度60%以上
  • 困ったところ・・・生きているダニだけでなく、ダニの死骸やフンがアレルギーを誘発します
  • ダニの好きな食べ物・・・ホコリに含まれている毛髪・フケ・垢(蛋白質のもの)
    ホコリのある所に確実にダニがいます。

1-1.インテリアに注意!ダニがよくいる場所ベスト4

食卓の椅子・ソファー なるべく布製でなく、皮製に。椅子の下もこまめに掃除機をかけましょう。

  1. ぬいぐるみ
    丸洗いできるものを選びましょう。数は少ない方がいいです。
  2. 絨毯・畳
    毎日掃除機をかけ、1㎡を20秒間掃除機で吸いとりましょう。市販のフローリングカーペットを使用するのも良いでしょう。せめて寝室だけでも絨毯を除去し、板はりのままにしておく方が望ましいです。
  3. 布団
    布団は一日の中でも一番長く接触しているところです。

    • まずは掃除機・・・布団は叩くと逆にダニの死骸やフンが浮き出てきて逆効果。掃除機をかけて床と同じように掃除しましょう。あまり神経質になり過ぎず、2週間に1回でも効果が確認されています。
    • 黒い布団カバー・・・「黒」は熱を吸収する色です。黒い蒲団カバーに入れて干した布団は温度が上がり、ダニが いなくなりやすいです。最近は通販でも購入できます。
    • 水に流す・・・特にアレルゲンとして指摘されるダニの死骸・フンは水で流れてしまいます。シーツや枕カバー(なるべく平織りの物)、寝巻きをこまめに洗うだけでも効果があります。
    • 丸洗いできる物・・・布団を「買う」段階からこだわって、丸洗いできる物を購入しましょう。防ダニ加工の物は薬品加工してある物が多く、アトピーの人は要注意です。素材は枕も含め、ソバガラ・モミガラ・アズキ・羽毛はアレルゲンになるので、木綿か化繊製品をおすすめします。

1-2.こまめに掃除をしましょう

月1回は丁寧に掃除しましょう。

  • タンスの裏、棚、ベッドの下などの目に付かない所も掃除機をかけましょう。
  • 家具で水を使える材質はかたく絞った雑巾でホコリを取り除きましょう。水が使えないものはハタキを使わず、きれいな雑巾で拭き取りましょう。
  • 掃除の際は窓を開け、部屋の通気を良くしましょう。
  • カーテンやクッションも月1~2回は洗濯しましょう。

1-3.ペットを飼っていませんか?

動物の毛やフケはアレルゲンとなり、ダニの栄養源にもなります。 飼うなら水棲動物が問題ありません。
飼われている場合は可能なかぎり屋外で飼うか、頻繁に洗ってあげましょう。
動物を触った後に手洗い・うがいをして衣服や絨毯に付いた毛を粘着テープで取り除きましょう。

1-4.花粉の季節の対策

重要な花粉はスギ、イネ科全体(代表的なものにカモガヤ)、ヨモギ、ブタクサ等です。

スギ 2月上旬~5月に飛散
イネ科植物 5月と9月をピークにほぼ1年中飛散
ヨモギ 8月上旬~10月に飛散
ブタクサ 8月上旬~9月下旬に飛散
  • 花粉シーズン前に予防対策をとる
    花粉の飛散が始まる前に抗アレルギー剤等を服用することによって症状を軽減できます。飛散開始する2週間前から服用することが適切と考えられますので、医師に相談して下さい。
  • 花粉の大量飛散日は外出を避ける
    3月上旬~4月中旬までの間はスギの開花最盛期にあたり、この間の晴れた日や風の強い日に大量の花粉が飛散します。やむを得ず外出する際にはマスクや眼鏡の着用を心がけて下さい。また、自転車やバイクの利用は避けて下さい。外出中症状がひどくなったら、コンビ二などに入りましょう。
  • 室内への花粉の侵入を防ぐ
    花粉シーズン中に窓を開放すると室内に花粉が侵入し、症状を悪化させる原因となります。屋外で長時間作業をした場合には、衣服にも花粉が付着していますので、ブラシ等で花粉を払い落として屋内に入るようにしてください。更に、布団や洗濯物を外に干すことも避けて下さい。

2.気候・温度差の影響

室内外で5℃以上の温度差で発作が起きやすいです。
自宅での冷暖房のかけ過ぎに注意しましょう。映画館やデパート等の施設へ行く時には上着を持参しましょう。

気温・気圧に急激な変化がある時や、台風や雨の前には発作が起きやすいです。
気候の変化は人の力では変えようがありません。前もって衣服調節や発作止めの携帯を忘れず準備しましょう

3.風邪の予防

多くの場合、風邪をきっかけとして喘息が悪化します。くしゃみ・鼻水・咳といった、いわゆる風邪症状が出てからゼイゼイ・ヒューヒューや咳が止まらなくなります。

  • 風邪を引かないように手洗い・うがいを励行しましょう。
  • クーラーや扇風機には直接あたらないようにして、汗をかいたらすぐに体を拭いて着替えましょう。
  • 黄色い鼻水・黄色い痰が出る、発熱すはウイルス感染している証拠です。
    それなりの治療が必要です。

※喘息と風邪薬

  •  喘息と診断を受けた後、風邪薬を内服して何でもなければ大丈夫です。
  •  反対に風邪薬を内服して息苦しくなったり、なお鼻水が出やすくなった場合は注意して下さい。
  •  喘息患者さんの7~10%で『アスピリン喘息』と診断される方がいます。
    風邪薬を内服して具合が悪くなった方には、その可能性が考えられます。
  •  独断で市販の風邪薬や消炎鎮痛剤を使用しないで、必ず医師に相談して下さい。
  •  他の病気で他の医院や病院を受診する時は、必ず喘息があることを医師に伝えて下さい。
  •  何故アスピリン喘息が起きるのか、その理由は不明です。中年女性で鼻ポリープ・副鼻腔炎等を合併している方に多く見られます。

アスピリン喘息を悪化させる消炎鎮痛剤

酸性非ステロイド抗炎症剤(NSAID)

成分 商品名
アスピリン ミニマックス、バファリン
スルピリン メチロン、オベロン
インドメタシン インダシン、インテバン、カトレップ
ケトプロフェン メナミン、オルヂス、カピステン、エパテック、モーラス
ピロキシカム バキソ、フェルデン
フェノプロフェン フェノプロン
イブプロフェン ブルフェン
ナプロキセン ナイキサン
ジクロフェナク ボルタレン、ナボール
メフェナム酸 ポンタール
フェニルブタゾ ブタゾリジン

4.お酒とタバコ

  • 禁酒をおすすめします。
    飲酒は二次的に発作を誘発することがあるので、禁酒することが望ましいです。飲酒だけでも40%の人に呼吸機能が低下すると言われています。
  • 禁煙しましょう。
    タバコは気道収縮を引き起こします。また、自分だけでなく周りの人にも影響をする為、やめましょう。ニコチンガムやニコチンパッチ(要処方)を利用するのはいかかでしょう。
  • タバコの煙以外にも・・・。
    蚊取り線香の煙、花火の煙(夏の発作の重要な原因となる)、化粧品の匂い、殺虫剤、接着剤等の化学物質の刺激で喘息発作が起こることがあります。このような問題となる物質を吸入しないようにしましょう。

5.食事

  • 腹八分目・・・量を食べ過ぎると横隔膜が上昇して呼吸がしづらくなり、発作が起きやすくなることがあります。暴飲暴食と炭酸飲料は避けましょう。
  • 添加物・・・基本的に成人の喘息では食事はあまり発作とは関係しませんが(食事に明らかなアレルゲンを持つ方を除いて)、人工着色料(黄色4号、タートラジン)、人工香料(安息香酸)、保存料(パラベン)等、これらの添加物の多いインスタントスープ、オレンジジュース、サラミソーセージには一応気をつけましょう。
  • 香辛料やヒスチジン、コリンを多く含むタケノコ、ナス、ヤマイモの大量摂取は避ける方が良いでしょう。
  • サリチル酸を多く含むイチゴ、トマト、キュウリ、ミカン類、ブドウを食べ過ぎない方が良いでしょう。
  • 塩分の取り過ぎも気道の過敏性を亢進するという報告があります。

6.運動

しっかり吸入薬でコントロールできていれば、必要以上に慎重になる必要はありません。しかし運動によって誘発される喘息もありまので、医師と相談してください。

7.職場環境

7-1.原因と危険因子

  • 職行性喘息の原因となる化学物質は約250種類が知られています。
    穀物粉、木屑、酵素、合成染料、金属、コーヒー焙煎業者のコーヒー豆、動物蛋白質、菌類、薬剤など。
  • 危険因子を持つのは次のような職業です。
    プラスチック製造加工業、金属加工業、製パン業、製粉業、農業、揚穀業、研究・実験職、製材業、製薬業、洗剤製造業など。
  • 発生は10000人に7人です。(全ての喘息の2~5%)
  • 曝露して間もなく発症するケースが多いですが、曝露して数ヶ月~数年後に発症するケースもあります。
  • 原因物質にさらされない週末や休日には症状が改善する傾向がみられます。