喘息の分類
気管支喘息は大きく、アトピー型と非アトピー型に分けることができます
1.アトピー型気管支喘息
アトピー型気管支喘息は、日常生活で廻りにあるアレルギーのもとになる物質(アレルゲン)に対してアレルギー反応を起こすもので、血液中にIgE抗体というタンパク質が(アイジーイーコウタイと読みます)が上昇してくるものです。この反応はたくさんの遺伝子によって決まり、ある程度遺伝性があります。単一の遺伝子によって決まるものではありませんのでたとえ両親とも気管支喘息であっても子どもが必ずしもアトピー体質を持ち、気管支喘息になるという訳ではありません。ちなみにアトピー体質は思っているよりも高い頻度であり、大体成人の3人に1人はアトピー体質で、12人に1人は喘息という報告があります。また大量のアレルゲン(アレルギーのもとになる物質をアレルゲンと言います)にさらされた場合にもアトピーは出現してきます。例えば新しいペットを飼いだしてから今まで何もなかった人が喘息を起こす例はこのような場合です。ですから遺伝的な要因だけで決まってくるものでもありません。環境要因も重要な因子です。アレルゲンは多岐にわたります。通常分子量2万から4万のタンパク質ないしはタンパクを含んでいる物質がアレルゲンになります。アレルゲンは職業性のものを除くと花粉、カビ、動物のふけそしてハウスダストの大きくは4種類に分かれます。またこのような現象の頻度は高く皮内テストで検査すると普通の人でも30%から50%にみられます。
2.非アトピー型気管支喘息
一方非アトピー型気管支喘息は、アレルギーのもととなる物質がなく、喘息の発作が起こってくるものです。なぜこのような体質が違うのに、同じような気管支喘息の症状が出てくるのかはよく分かっていません。また吸入ステロイドを中心とした現在の治療法はアトピー型気管支喘息、非アトピー型気管支喘息の両方に有効です。これは体質は違ってもその表れであるアレルギー性気管支炎は同じだからです。
小児期に発生する喘息はアトピー型が多く、成人発症型は非アトピー型が多い傾向にあります。気管支喘息というと子どもの病気のように思われがちですが、成人になってからも気管支喘息が発症することはそんなに珍しいことではありません。非アトピー型気管支喘息の危険因子として明らかなのは女性であること、極端な肥満です。日常、診療で患者さんを見ていると、小児喘息の既往をもった人も多く、いったんは成人になってからはほとんど喘息発作が起こらずにいたのに風邪をひいたことなどをきっかけに喘息の発作を起こす患者さんも多く、このような患者さんでは血液検査で調べてみるとIgE値が高く、子ども時代のアレルギー体質を、大人になっても持っていることが分かることがあります。また喫煙、カビ、香水、埃や羽毛布団といったごくありふれた物質が気管支喘息の発症のきっかけになっていることもあります。(必ずしも原因とは限りません。) 特にタバコは気管支喘息の原因ではありませんが、強力な悪化要因となりますので、喘息患者さんに禁煙は必須です。
アレルギーのもとになるアレルゲンは、血液検査で調べることができます。また、非アトピー型では、気管支喘息を起こす物質がはっきりしません。ただしさきにも述べたように非アトピー型気管支喘息だからといって、喘息の治療が異なることはありません。
ただ日常生活の注意する点が、アトピー型と非アトピー型では異なってくるため、通常患者さんの血液からIgEの量やアレルゲンを調べています。