喘息と新型コロナワクチン
- 喘息がありますが新型コロナワクチン接種はできますか?
- 副反応についてはどんなものがありますか?
- このワクチンは1回でよいのでしょうか?
- 予防接種を受けてすぐに帰れますか?当日お風呂に入れますか?
- 体調の都合で2回目が受けられませんでした。どうしたらよいですか?
- 遺伝子を注射すると聞きましたが、大丈夫でしょうか?
- 喘息があると新型コロナウイルスにかかった時に重症化しやすいですか?
1 喘息がありますが新型コロナワクチン接種はできますか?
新型コロナワクチン接種は受けられます。新型コロナワクチン接種ができないのは次のような方です。
①明らかに発熱している方
②重い急性疾患にかかっている方
③本ワクチンの成分に対し重度の過敏症の既往のある方
④上記以外で予防接種を受けることが不適当な方
とされています。
①については改めて説明の必要はないと思います。当院では37度以上の方には接種していません。②重い急性疾患については接種にあたっている医師の判断になります。呼吸器疾患では例えば肺炎や喘息の急性増悪期などがそれに相当すると思います(藤田私見)。③ファイザー社のワクチン(商品名コミナティー)へのアレルギー反応はポリエチレングリコールという物質に対してのアレルギーと考えられています。(ちなみにインフルエンザワクチンにはポリエチレングリコールは含まれていません)。しかしはっきりとポリエチレングリコールに対するアレルギーと確定診断されている方はかなり少ないのではないでしょうか。多くの喘息患者さんでは安全にワクチンが接種できます。 アメリカ合衆国からの報告ではアナフィラキシーを起こした66例中21例(32%)では過去にアナフィラキシーを起こしており、これらの中にはワクチン(狂犬病、インフルエンザ、特定できず)、造影剤(ガドリニウム含有、ヨウ素含有 特定できず)、静脈注射(特定できず、)サルファ剤、ペニシリン、プロクロールペラジン、ラテックス、クルミ、木の実(特定できず)、クラゲ刺傷などがあったと報告されています。(https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2776557)
2 副反応についてはどんなものがありますか?
局所の痛みや腫れ、全身倦怠感、下痢、筋肉痛や関節痛、頭痛、疲労感、寒気などがあります。これらの反応はすべての人に見られるわけではありませんが、1回目より2回目に出る率は高くなり、また若い人では頻度が高くなります。この症状は多くは一日から二日で収まります。ひどい症状が出た場合には医療機関を受診してください。またあらかじめ解熱剤を予防的に内服することは勧められていません。
3 このワクチンは一回でよいのでしょうか?
ファイザー社のワクチンでは基本的に3週間の間隔で接種することが勧められています。当院では一回目の予約時に同時に三週間後の予約行っています。1回接種でも効果はあるようですが、2回接種に比べると効果が弱く、変異種が次々に出てくる現状では2回ワクチン接種をして十分な抵抗力をつけておく必要があります。現在2022年11月の時点ではオミクロン株の派生株に対して効果が期待されるワクチンの接種を行っています。
4 予防接種を受けてすぐに帰れますか?当日お風呂に入れますか?お酒は飲めますか?運動をしてもいいですか?
医院内で15分は様子を見るようにしてください。これは安全にワクチン接種を行うためのためです。
お風呂には当日は入れますが、接種部位を強くこすらないで下さい。また飲酒はさけてください。また激しい運動は避けてください。
5 体調の都合で2回目が受けられませんでした。どうしたらよいですか?
なるべく早く2回目の接種を受けてください。
6 遺伝子を注射すると聞きましたが、大丈夫でしょうか?妊娠に影響はありませんか?
メッセンジャーRNAという遺伝子を注射しますが、RNAからはDNAに比べると壊れやすく体内では数分から数日で分解していきます。RNAは人間の遺伝情報がある核内へは入ることができません。また人体内ではRNAからDNAへ変換される仕組みはありません。この心配はされなくてもよいと思います。現在も妊娠に関する安全情報は蓄積しつつある状況で、妊娠に関しては日本産婦人科学会の見解を下記より参照ください. 妊娠は新型コロナ感染時の重症化因子の一つになりますので、妊婦の方はワクチンを接種した方が安心です。詳しくはかかりつけの医師にご相談ください。
https://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210814_COVID19_02.pdf https://www.jsog.or.jp/news/pdf/20220726_COVID19.pdf
7 喘息があると新型コロナウイルスにかかった時に重症化しますか?
いくつかの報告がありますが、COPD(肺気腫や慢性気管支炎)に比べると重症化するリスクは高くはありませんが、喘息があると入院するリスクは1.32倍、ICU 入室率が1.09倍、死亡は1.19倍という報告があります。わずかですがリスクは高くなると考えて良いでしょう。