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酸素を吸った方が長生きする(1)
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■酸素を吸った方が長生きする(1)

 在宅酸素を始めるにあたって、「酸素を吸ったら肺がさぼってしまい、かえって肺機能が落ちてしまわないだろうか。その結果短期的には楽になっても長期的には体に良くないのではないだろうか」と思われる方が少なくありません。
 これに関しては2つの研究が有名で酸素を吸った方が体にかかる負担が少なくなり、長生きできることがわかっています。在宅酸素療法のこのような研究の1つとしては英国で行なわれたBritish MRC studyがあります。対象患者はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)で、動脈血の酸素分圧が55mmHg以下の人を対象に一日15時間、酸素を吸入するグループと酸素を吸入しない2つのグループに分け比較しています。
 不思議なことに在宅酸素療法開始後500日(約1年半)までは両グループに差はないのですが、それ以降は酸素を吸入しているグループの方が長生きできるという結果です。(表1)ちなみに動脈血とは心臓から直接送り出されて脳や筋肉などに酸素を届ける血液です。また酸素分圧とは血液中に含まれている酸素の量と考えて下さい。ちなみに正常の人では酸素分圧は90mmHg以上あり、55mmHg以下というのはかなりひどい呼吸不全で、話をしたり服を脱ぎ着するだけで息切れがする状態です。
 またいったん酸素を吸入し始めたら、癖になり止められなくなるのではないかという質問も良く受けます。残念ですが今の所ははいったん落ちてしまった肺機能を元に戻す治療法は肺移植しかありません。ですから酸素吸入を必要とするくらいに病気が悪くなった場合には在宅酸素療法を続けることが必要です。在宅酸素療法は癖になるのではなく元の病気が続くために中止することが出来ないのです。ただし内科的な薬物療法やリハビリテーションにより、息切れ感が改善することもあります。

上の図は液体酸素による在宅酸素療法を行っている患者さんです。右の大きな魔法瓶の様な容器に液体酸素を入れており、そこから酸素を吸入しています。

表1 横軸は在宅酸素療法を始めてからの日数。 縦軸は生存率。
   上の実線が酸素を夜間に吸った場合の生存曲線
   下の点線が酸素無しでの場合の生存曲線
   1000日をこえたあたりから酸素を吸った方が死亡率が低くなっています。

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