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慢性の咳でお悩みの方へ(その1)
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■慢性の咳でお悩みの方へ(その1)

長引く咳でお悩みの方は、かなりの数にのぼると思われます。
当院では約半数が咳を主な訴えとして来院されます。
咳は嫌なものです。必ずといっていいほど、「お医者さんに診てもらった方がいいよ」と言われます。
そこで、通常の咳止めが効かなくて治療が必要な慢性の咳(少なくとも3週間以上続く)をきたす疾患について以下にのべます。

(1)喫煙
タバコを10本以上吸うと、25%以上の人が慢性の咳をきたします。
40本以上吸う人では50%以上の人が、慢性の咳をきたします。
でもタバコを吸う人はあまり咳が出るからといって、医師のもとへは来られません。
肺癌の合併が恐いので、40歳以上になったら一年に一回胸のレントゲン写真と喀痰にガン細胞が出ていないか、 喀痰の細胞診の検査を受けるようにして下さい。
また禁煙をされたい方は禁煙の項を参照ください。

(2)血圧の薬による咳
案外見逃されているのが血圧の薬による咳です。
Angiotensin Converting Enzyme Inhibitors(ACEインヒビター)と呼ばれる 血圧を下げる薬で、咳が出ることは医師の間ではよく知られています。
しかし、患者さんは血圧の薬が咳の原因になっているとはわからないので、「何故咳が出るのだろうか」と不思議に思います。
最近は院外処方で、薬局で教えてくれることもあり、少しずつ減っています。
ACEインヒビター自身は優秀な血圧の薬でもあり、一概にACEインヒビターを止めてしまうことには問題がありますが、 もし咳でお悩みの際で、他医(特に呼吸器科)にかかることがあったら、飲んでいる薬を全部持ってきて下さい。
大体ACEインヒビターを飲んでいる患者さんの5〜10%に出るとされています。
ACEインヒビターを飲むのを止めればすぐに 咳は止まりますので、この場合は主治医に咳のことを話して、別の種類の薬に変えてもらいましょう。
自分で勝手に中止するのは止めて下さい。
またβ(ベータ)ブロッカーと呼ばれる種類の血圧を下げる薬があります。
この薬は血圧の治療薬として広く用いられていているほかに、心不全でも使われます。
この薬でもCOPD(息切れの項を参照下さい)や喘息といった基礎疾患がある場合、特に咳が出やすくなります。
急に止めると血圧が上がったり、心不全の治療の目的で飲んでもらっている場合、心不全が出てきますので、くれぐれも勝手に中止せずに主治医に相談してください。

(3)感冒後遷延性咳ソウ症候群(かんぼうごせんえんせいがいそうしょうこうぐん)
長い名前ですが、要は風邪の後に咳だけが残るといった場合のことをいいます。
普通風邪をひいても3週間以内に、風邪の症状はおさまりますが、ある一定の率で咳だけが残る人がいます。
咳は2ヶ月以上にもおよぶことがあります。これは風邪で気管支(空気の通る道)の表面を覆っている粘膜が炎症を起こして、 刺激(温度差や煙などの)に過敏になっていることから起こります。
治療には抗ヒスタミン剤や吸入ステロイドを用います。

(4)胃食道逆流性
胃では消化のために胃酸が分泌されています。
普通この胃酸は口や食道の方へは戻ってきませんが、人によると胃酸が戻ってきて喉(のど)を刺激し、咳が出ることがあります。
胸焼けや、たくさん食べた時に咳が出ること、横になると咳が出ることが特徴的です。
しかし、胃食道逆流性では、咳だけが唯一の症状のこともあり、このような場合は診断に困ります。
確定診断は胃食道内視鏡で食道炎をみつけることですが、それでも診断がつかないことがあり、胃酸の分泌を抑制する薬を飲んでもらうこともあります。
これで咳が軽くなれば、胃食道逆流症と診断することもあります。
正確には食道内のpH(酸の度合い)を測ることで胃酸が逆流しているか確かめることもありますが、診療所レベルの一般診療ではあまり行われていません。

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