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妊娠時の喘息治療にステロイドは危険か
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■妊娠時の喘息治療にステロイドは危険か

 まず妊娠するにあたって、喘息の患者さんは、アレルギーのもと(アレルゲンをといいます)を極力避けること、タバコを吸わないことが先決です。これを守れると、喘息のコントロールはぐっとやりやすくなります。
 世の中では、ステロイドというと、奇形児が生まれるのではないかという心配をされる方が多いと思います。
現在までのデーターを、以下に述べます。
 まず、最重症の喘息を除いて、喘息の治療では、経口のステロイドを使うことはありません。ほとんどは、吸入ステロイドです。吸入ステロイドと経口ステロイドでは何が違うかというと、経口ステロイドは胃腸から吸収されて、全身に作用が及びます。それに対し、吸入ステロイドは、肺から吸収されて効果が出て、吸収されたステロイドは全身に回る前にほとんどが肝臓で分解される点です。
 次に、吸入ステロイドも色々ありますが、当院でよく使っている、商品名パルミコート(薬品名はブデソナイド)について述べます。
 スウェーデンで、妊娠早期からパルミコートを使った2014人の乳児で、奇形が増えるということはなかったという報告があります。皆さんにはショックですが、一般の分娩でも小さな奇形も含めると奇形の発生率は2〜3%あります。ブデソナイドを使っても奇形の率が増えないということで、奇形を持った子供が生まれないということではないので、誤解のありませんように。
 もう1つの研究は、吸入ステロイドの有用性について研究したものです。504人の妊婦について、47人(9.3%)の妊婦が、妊娠中に喘息が悪くなっていました。ベクロメサゾン(商品名アルデシン、ベコタイド、タウナス、ベクラゾン)、またはブデソナイドで妊娠の初めから治療を受けたグループでは、喘息の急性増悪(発作が出ること)が4%だったのに対し、当初吸入ステロイドの治療を受けていなかった177人のうち17%が急性増悪を経験していました。吸入ステロイドによる治療を受けていないと妊娠中に喘息が悪くなる危険性に約4倍の開きがあるわけです。現在、日本でも、フルチカゾン(商品名フルタイド)やブデソナイド(商品名パルミコート)が使用されていますが、ベクロメサゾンと比べて、どれがよいかという比較をした研究はありません。発表されたデーターを考え合わせると、ベクロメサゾンとブデソナイドが、妊娠中の使用に良いと考えられます。
 もし妊娠しているか、今から妊娠しようとする喘息の患者さんでも、喘息のために妊娠をあきらめる必要はないということです。なおこの文章は、アメリカ産婦人科学会とアメリカアレルギー・喘息・免疫学会の発表をもとにしています。

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